「つちのこ」なんて呼び名も、そんなヘビがいる事も知らない時代のことです。
遠足か写生で行った先の神社で、
友だちが「珍しいヘビを先生が捕まえた」と言って
当時、家でヘビを飼っていた私のところへ持ってきてくれた。
一目見てネズミか何かを飲み込んだヤマカガシだな(珍しくもないな)
と思ったが、手提げ袋(当時地元で流行った(?)ヤッケの生地で、
使わない時は付属のポッケに収納するやつ)に入れて持ち帰ることにした。
家に帰り、袋から出したそのヘビは長さ30cmくらいだったと思う。
体の色はいつも見慣れているヤマカガシと全く同じだった。
首元からしっぽの付け根まで、缶コーヒーの太さくらいに
おなかがパンパンに膨れているそのヘビは、
体を曲げることもできず、ただまっすぐ、動かないでいた記憶がある。
1週間も経たないうちにそのままの太さで死んでしまったが、
もうひとつ、いつも見慣れているヤマカガシと違うところがあった。
長さ30cmくらいのヤマカガシにしては、頭が異様に大きかったのだ。
今思えば、あのサイズのヘビがあのおなかの獲物を飲み込むには
あのくらい頭が大きくないと飲み込めなかったと思う。
逆に飲み込む過程で、アゴが外れたりして大きく見えていたのかな。
(三角頭で同サイズのヤマカガシの2倍くらいの大きさがあった)
また、獲物に巻きついて飲み込むには長さが足りなかっただろう。
あのころ、本州に生息する毒蛇といえばマムシだけと言われていた。
しかし、今ではヤマカガシにも毒があることが確認されている。
毒を持っていれば大きな獲物でも、咬殺することは可能だろう。
やっぱり太ったおなかの中身はカエルかネズミかな。
「つちのこ」って飛んだり跳ねたりするっていうからね。
あの体じゃ、飛んだり跳ねたりなんてできないから、
小さいのに大食漢なヤマカガシだったのかな。
今から40年くらい前の事でした。
スポンサーリンク