動物園のカワウソ観察(20150920)

ある日男は、動物園に出掛けた。

平日の朝一番ということもあり客のいない園内をサクサクと進み、

男はカワウソ展示コーナーへとやってきた。

しばらくながめていた男はある異変に気付いた。

そこには水槽の中を2匹(頭)のカワウソが泳いでいたが、

1頭(仮にボブとする)が水面に上がろうとすると

もう1頭(仮にビルとする)が足をひっぱったり、頭を押さえつけたりして

ビルがボブに息継ぎをさせないようにしているのだ。

もうかなりの時間が経っているように思えた。

「やめるんだビル、このままだと遊びじゃ済まなくなる、ボブが死んじゃうぞ!」

とガラスを叩こうと思ったら《ガラスを叩かないでください》という注意書きが

目に映り、男は目の前の光景を見守るしかなかった。

ボブの口から「ゴボッ」と最後と思われる空気が吐き出されたとき、

男はあることを思った。

このままではボブが死んでいるのを発見し、悲しんでいた飼育員が、

ボブの死因が溺死とわかったとたん、

「カワウソのくせに溺死って、、、ぷぷっ(笑)!!」って、

笑い話にされてしまうんじゃないかと!!!

「違うんだ!、そうじゃないんだ!」とボブの名誉のために

男は証言台に立つ決意をした。

そのとき、、、男の目に水面から顔を出すボブの姿が映った。。。

(もうどっちがボブだかビルだか区別がつかない・・・)

男は大きく深呼吸した。。。

(息苦しかったのは、見入っていた男の方だった)

「あ~、空気ってうまい!」

ちなみにカワウソって8分くらいの潜水能力があるんだって。

「あ~、知らないって疲れる!」

男は静かに次のあらいぐまコーナーへと向かった。item05-1

「あ~、写真撮っとけば良かった・・・」

 

 

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