ある日男は、動物園に出掛けた。
平日の朝一番ということもあり客のいない園内をサクサクと進み、
男はカワウソ展示コーナーへとやってきた。
しばらくながめていた男はある異変に気付いた。
そこには水槽の中を2匹(頭)のカワウソが泳いでいたが、
1頭(仮にボブとする)が水面に上がろうとすると
もう1頭(仮にビルとする)が足をひっぱったり、頭を押さえつけたりして
ビルがボブに息継ぎをさせないようにしているのだ。
もうかなりの時間が経っているように思えた。
「やめるんだビル、このままだと遊びじゃ済まなくなる、ボブが死んじゃうぞ!」
とガラスを叩こうと思ったら《ガラスを叩かないでください》という注意書きが
目に映り、男は目の前の光景を見守るしかなかった。
ボブの口から「ゴボッ」と最後と思われる空気が吐き出されたとき、
男はあることを思った。
このままではボブが死んでいるのを発見し、悲しんでいた飼育員が、
ボブの死因が溺死とわかったとたん、
「カワウソのくせに溺死って、、、ぷぷっ(笑)!!」って、
笑い話にされてしまうんじゃないかと!!!
「違うんだ!、そうじゃないんだ!」とボブの名誉のために
男は証言台に立つ決意をした。
そのとき、、、男の目に水面から顔を出すボブの姿が映った。。。
(もうどっちがボブだかビルだか区別がつかない・・・)
男は大きく深呼吸した。。。
(息苦しかったのは、見入っていた男の方だった)
「あ~、空気ってうまい!」
ちなみにカワウソって8分くらいの潜水能力があるんだって。
「あ~、知らないって疲れる!」
「あ~、写真撮っとけば良かった・・・」
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